中小企業IT利活用 困りごと辞典OSAKA AI-Center(OAIC)が運営する民間の取り組み

ホームページが無い、何年も放置で情報が古い

ホームページが無い、あるいは何年も更新していない——そこで問題になるのは、見た目の古さではない。相手が検索するのはデザインを見るためではなく「この会社は今も動いているのか」を確かめるためで、見えていないのはその証拠のほうだ。要るのは凝った作りではなく、最小の一枚。

初めて取引する相手、応募を考えている求職者、紹介で名前を聞いた客——今の時代、こちらに連絡する前にまず会社名を検索する人は少なくない。そのとき、何も出てこない。あるいは、出てきたサイトの「新着情報」が三年前で止まっている。この辞典が扱うのは、その検索画面の向こうで相手が何を思うか、という場面である。

こんな場面に、心当たりはないか

  • 会社名で検索しても、自社のホームページが出てこない。名刺やチラシに載せるURLがない。
  • サイトはあるが、最後の更新が何年も前。トップに載っているのは、もう扱っていない商品や、退職した人の名前だったりする。
  • 電話番号や営業時間が古いまま載っていて、それを見た客が「かけたらつながらない」と戸惑う。
  • 「ホームページくらい、ちゃんとしたものを作らないと」と何度も思うが、立派に作ろうとするたびに費用と手間の話になって、そのまま止まっている。
  • 数年前に制作会社に頼んで作ったが、自分たちでは直せず、更新を頼むのもお金がかかるので、放置したままになっている。
  • SNSのアカウントはあるが、最後の投稿が二年前。開いた相手には、今も動いているのかどうかが分からない。

どれも「サイトが無い・古い」という形の話に見えて、相手に伝わっているのは別のことだ。この会社が、今も動いているのかどうか、外からは分からない。

スマートフォンで会社名を検索した画面。検索結果に会社のホームページが出てこない、あるいは「新着情報」が数年前で止まっている様子

たいてい、こう考える

この困りごとに気づいたとき、たいていの会社が取る手は決まっている。

「そろそろ、ちゃんとしたホームページを作ろう」。制作会社に相談し、デザインの案を見て、どんなページを何枚作るか考え始める。あるいは、自分で無料のテンプレートを触り始める。どちらも、ホームページを整えるという方向の手である。

だが、そこから先で止まる。ちゃんと作ろうとするほど、費用も、決めることも、書く文章も増えていく。「トップページに何を載せるか」「会社の強みをどう書くか」を考え出すと、手が止まる。結局「忙しいから、落ち着いたら」となり、無い状態・古い状態がそのまま続く。立派なものを作ろうとすることが、かえって何も出さないことにつながっている。

だが、本当の問題は「立派なホームページが無いこと」ではない

ここで、相手がなぜ検索するのかに立ち返る。取引先も、客も、求職者も、こちらのデザインを鑑賞するために検索しているのではない。確かめたいのは、たった一つ——この会社は本当に存在して、今も動いているのか、ということだ。

ホームページが無ければ、相手はその答えを得られない。実在するのかどうか、確かめようがない。何年も更新が止まったサイトは、もっと厄介だ。それは「情報が古い」というより、「この会社は止まっているのかもしれない」という印象を、はっきりと残す。立派に作り込まれたサイトほど、その古さは目立つ。二年前のキャンペーンがトップに残ったままだと、丁寧に作られている分だけ「そこで時間が止まった会社」という印象が残ることがある。

つまり、求められているのは見栄えではなく、存在確認だ。何屋で、どこにいて、今も動いている——それが外から見えるかどうか。ここが満たされていなければ、どれだけデザインに凝っても、相手の不安は消えない。逆に言えば、立派でなくても、この確認さえ取れれば役目は果たす。問題は「サイトの出来」ではなく、「今も動いている証拠が、外から見えないこと」にある。

では、どう考えるか

考え方を変える。立派な一式を作ろうとするから止まる。だったら、目的を「存在確認が取れる状態を、最短で外に出す」ことだけに絞る。

要るのは、最小の一枚だ。何屋なのか。どこにいて、どう連絡すればいいのか。そして、最近も動いている気配。この三つが分かる一枚があれば、検索した相手の不安は、ほとんど消える。会社案内も、凝ったデザインも、複数ページも、後からでいい。まず存在確認が取れる最小の一枚を、外に出す。

もう一つ、放置に戻らない工夫がいる。多くのサイトが古くなるのは、担当者が「定期的に更新する」という約束を守れなくなるからだ。人手の足りない会社で、更新を人の規律に頼れば、まず続かない。だから最初から、更新に手がかからない作りにしておく。たとえば「最近の動き」の欄に、日々すでに出しているもの——SNSの投稿など——を自動で流し込む作り方もある。ただし、自動で表示できるかどうか、いつまで使えるかは、その発信の場の仕様しだいで変わる。だから、自動表示が止まっても困らない中身——何屋か・所在・連絡先——は、一枚の中に自前で置いておく。更新を頑張るのではなく、頑張らなくても止まって見えない仕組みにする、ということだ。

選び方:道はいくつかある

「今も動いている証拠」を外に出すやり方には、いくつかの道がある。どれが合うかは、会社の置かれ方で変わる。

A案:AIに、載せる中身と原稿を作ってもらい、最小の一枚を用意する

「ホームページを作る」と聞くと、専門知識が要る、業者に頼むしかない、と身構えがちだ。だが今は、そこをAIに肩代わりさせて、最小の一枚を低コストで用意する、という道がある。よく知られた"質問して答えをもらう"使い方とは、狙いが違う。作る作業そのものを、手伝わせる。

実際の流れは、こうなる。まず「うちは何屋で、どこで、何をやっていて、どう連絡してほしいか」をAIに伝える。するとAIが、一枚のページに何をどの順で載せればいいか(構成)と、そこに載せる文章の下書きを作ってくれる。文章を考えるのが止まる原因だった会社ほど、ここが効く。

  • 「取引前に検索した相手が安心できる会社紹介を、五行で書いてください」
  • 「事業内容と連絡先を、一枚のページに載せる形に整えてください」
  • 「この内容を、無料のページ作成サービスに貼れる形にしてください」

こうして中身が用意できれば、あとは無料や低額の一枚ページ作成サービスに流し込むだけで、存在確認が取れる一枚が外に出せる。知識がなくても、下書きを直しながら進められる。凝った作り込みではなく、今も動いている証拠を最短で出すことに徹するなら、この道は費用も手間も軽く済む。

  • 向く場面:ホームページが無い、あるいは古いままで、何から手をつけるか・何を書くかで止まっている会社。まず存在確認だけでも外に出したい会社。
  • 割に合わないこと:AIは、会社の事実を知らない。何屋か・連絡先・実績といった中身は、人が正しく渡す必要がある。AIが書いた文章をそのまま出さず、事実として正しいかの最終確認は人がする。凝ったデザインを求め出すと、かえって手間になる(狙いは存在確認であって、見栄えではない)。
  • 始める前に要ること:「何屋か・所在・連絡先・最近の動き」を、箇条書きで一度書き出しておくこと。これがあればAIとのやりとりが早い。

※AIにはいろいろな種類・サービスがある。ここでは「特定の製品を入れる」話ではなく、「載せる中身と原稿づくりをAIに手伝わせる」という考え方を指している。どれが合うかは、会社の状況によって変わる。

B案:すでにある発信の場を、"見つかる状態"に整える

新しくサイトを作らず、すでに持っているもの——SNSのアカウントや、地図サービス上の会社情報など、無料で使える場——を、存在確認の受け皿にする。会社名で検索したときに、そこがきちんと出てきて、事業内容と連絡先が読め、最近の動きが分かる状態にする。

  • 向く場面:すでにSNSなどで発信の実績がある会社。まずお金をかけずに、外からの見え方だけ整えたい会社。
  • 割に合わないこと:それ単体では、独立したホームページほどの信頼感は出しにくい。また、その場の運営ルールに縛られる(表示のされ方を自分で決めきれない)。
  • 始める前に要ること:会社名で検索して、今どこが表示されるかを確かめること。情報が古ければ、まず連絡先と事業内容だけでも直す。

C案:制作会社に頼む

きちんとしたサイトを外部に作ってもらう。人手も時間も割けないなら、これが現実的な場合もある。ただし、選び方には一点だけ注意が要る。「作って終わり」の相手ではなく、作った後に自分たちで更新できる仕組み(管理画面など)まで用意してくれる相手を選ぶ。ここを外すと、また数年後に「頼まないと直せないから放置」に戻る。

  • 向く場面:一枚では足りず、事業の幅を丁寧に見せる必要がある会社。自社で作る時間がまったく取れない会社。
  • 割に合わないこと:費用がかかる。そして、更新を自社でできる形にしておかないと、放置が再発する(古いサイトの多くは、こうして生まれている)。
  • 始める前に要ること:作った後、誰が・どうやって更新するのかを、依頼する前に決めておくこと。

まず存在確認だけでも外に出すならA案が速く、すでに発信の場があるならB案、腰を据えて作るならC案、という具合に、自社の事情によって入り口が変わる。一度に立派なものを目指さないほど、外に出るまでの時間は短くなる。

自分でできる、はじめの一歩

費用をかけずに、今日のうちに確かめられることがある。

自分の会社名を、スマートフォンで実際に検索してみる。客や取引先や求職者が見るのと、まったく同じ画面を、自分の目で見る。何が出てくるか。何も出てこないか。出てきたとして、その情報は今のものか。電話番号は今つながる番号か。「新着情報」は、いつで止まっているか。——外から自社がどう見えているかを、一度この目で確かめる。これだけで、最初に手をつけるべき一点が見えてくる。

この一歩でできるのは、現状の把握までだ。

それでも、自社の事情が残るときは

「何を載せていいか分からない」「古いサイトを触れる人が社内にいない」「更新が止まっても古びない作りにしたいが、何を自前で置いておくべきか判断がつかない」——この辺りで足が止まる会社は多い。外に出す顔になるものだから、判断に時間がかかる。

そういうときは、OSAKA AI-Center の窓口に相談するという選択肢がある。何かを買う必要はなく、こちらから売り込むこともない。「うちは今こういう状態で、まず何から出せばいいのか」——その整理を一緒に考えるところまでが、この辞典の役割である。

ITは、本来は専門家の領分でもある。弁護士や税理士のように、ITと経営の両方を知る第三者を"ブレイン"として側に置く——という考え方もある。何もかも自社だけで抱え込まなくていい。この辞典も、そうした相手と一緒に読めば、自社に合った次の一手につながりやすい。

うちの場合はどうなのか、という部分は残る。

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この辞典について

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