中小企業IT利活用 困りごと辞典OSAKA AI-Center(OAIC)が運営する民間の取り組み

サポートが終わったWindows 10のパソコンを、どうすればいいか分からない

サポートが終わっても、パソコンは動く。だから判断が後回しになる。だが、更新を受け取り続けるための有料の延長は、会社が管理するパソコンと個人のパソコンで対象が違い、しかも待つほど値段が上がる作りになっている。問われているのは機械の新しさではなく、その一台が外とどうつながっているかである。

事務所のパソコンは、今日も普通に立ち上がる。文字も打てるし、印刷もできる。壊れてもいない。それなのに「サポートが終わりました」と言われ、業者からは買い替えの見積もりが届き、社内からは「まだ使えるのに」という声も上がる。何台あるのかも正確には分からない。決めるべきなのは分かっているが、何を基準に決めればいいのかが分からない——この辞典が扱うのは、その場面である。

こんな場面に、心当たりはないか

  • サポートが終わったと聞いたが、パソコンは変わらず動いている。だから何が変わったのか実感がない。
  • 出入りの業者から入れ替えの提案が来たが、台数分の金額を見て、そのままになっている。
  • 「無料で延長できるらしい」という話をどこかで聞いた。ただ、それが自社に当てはまるのかが分からない。
  • 新しいWindowsに上げようとしたら、この機械は条件を満たしていない、と表示された。理由は読んでも分からなかった。
  • 現場の機械を動かすためだけに使っているパソコンがあり、これは触りたくない。
  • 何台がその状態なのか、社内の誰も一覧を持っていない。

判断が止まっているのは、危機感が足りないからではない。動いているものを止める理由を、自分の言葉で説明できないからである。

事務所の棚に並んだ数台の年季の入ったデスクトップパソコンと、その横に置かれた入れ替えの見積書。画面はどれも普通に点灯している様子

たいてい、こう考える

この場面で出てくる考え方は、たいてい二つに割れる。

一つは「動いているのだから、当面このまま使う」。実際、Microsoftの案内にも、サポート終了後もパソコンは引き続き機能する、と書かれている。壊れたわけではないのだから、この判断には一定の理屈がある。

もう一つは「言われた台数を、まとめて入れ替える」。見積もりが来ているのだから、それに沿って進めるのがいちばん早い。

だが、この二つはどちらも、全台を一つの塊として扱っているという点で共通している。「うちのパソコン」をひとまとめにして、使い続けるか、まとめて替えるかを決めようとする。台数が多いほど金額が大きくなり、大きくなるほど決められなくなる。決められないまま時間が経つ——ここで、もう一つの事情が効いてくる。

だが、本当の問題は「パソコンが古いこと」ではない

サポートが終わって何が変わったのか。Microsoftの案内は、そこをはっきり書いている。機能の更新も、セキュリティの更新プログラムや修正も、技術的なサポートも、提供されなくなる。パソコンが止まるのではなく、直すための部品が今後は届かなくなる、という変化である。

この変化がどれだけ効くかは、機械によってまったく違う。毎日メールを受け、取引先とファイルをやりとりし、ネット上の会計や銀行にログインしている一台と、外につながずに現場の機械を動かすためだけに置いてある一台とでは、届かなくなる部品の重みが違う。問われているのは機械の新しさではなく、その一台が外とどうつながっているかである。にもかかわらず、判断は「全部で何台、いくら」という形でしか出てこない。ここに、この困りごとの最初のねじれがある。

そして、もう一つ。「まだ使えるから、そのうち決める」という判断のほうにも、事実として押さえておくべき性質がある。

サポート終了後もセキュリティの更新だけを受け取り続ける仕組み(拡張セキュリティ更新プログラム)は用意されている。だが、ここは誤解が多い。個人向けの仕組みと、組織向けの仕組みは別のものであり、中身が違う。 追加費用なしで登録できる方法が案内されているのは個人向けのほうで、Microsoftの案内には、組織で管理されているデバイスや、企業向けのライセンス制度に登録されているデバイスは対象外と明記されている。会社のパソコンを会社として延長するなら、そちらは有料になる。

その有料の側の条件が、判断の性質を決めている。組織向けは1台あたり年およそ60ドルから始まり、この価格は最大3年間、毎年倍になっていく(2年目はその倍、3年目はさらにその倍)。しかも年単位でしか買えず、途中の半年だけを買うことはできない。さらに、2年目から入ろうとする場合は、1年目の分も合わせて払う必要があると書かれている。受け取れる期間は最長で3年、技術的なサポートは含まれない。

つまり、延長は「時間を買う」仕組みであり、待った分だけ高くなる作りになっている。「そのうち決める」という判断は、決めない期間の分だけ、後から支払う額を増やしていく。判断を先送りしたつもりが、先送りの費用を積み上げていた、という形になりやすい。ここが、この題材のいちばん見えにくい一点である。

新しいWindowsに上げられるかどうかも、性能の良し悪しではなく、決められた条件を満たすかどうかで決まる。処理装置の世代、セキュリティ用の部品(TPM 2.0)、起動の方式——このあたりが条件として示されており、性能に不満がない機械でも、条件を満たさなければ上げられない。「まだ十分速いのに」という実感と、上げられないという結果が食い違うのは、そのためである。買い替えを勧められる理由は、営業の都合ではなく、この仕様の側にある。

では、どう考えるか

判断の単位を、「全台」から「一台ずつ」に変える。

一台ごとに見るのは、次の一点だけでいい。その機械は、外とつながっているか。メール、ウェブ、クラウドのサービス、取引先とのファイルのやりとり、社内の共有フォルダ。どれか一つでもつながっていれば、更新が届かなくなる影響を直接受ける側になる。何にもつながず、決まった仕事だけをしているなら、影響の受け方が変わる。

そのうえで、二つ目の問いを当てる。その機械が明日止まったら、何が止まるか。止まるものが小さければ、判断も小さくて済む。止まるものが大きければ、そこから先に手をつける。

この二つで並べ替えると、「全部で何台、いくら」だった話が、「先に手を打つ数台」と「後でいい数台」と「そもそも扱いを変える数台」に分かれる。金額が動かせないなら、順番を動かす。中小企業で実際に回るのは、この形になる。

選び方:道はいくつかある

道は、大きく三つある。どれか一つを全台に当てはめるのではなく、機械ごとに割り当てる形になる。

A案:新しいWindowsが動く形に、入れ替える

条件を満たしている機械はそのまま上げ、満たしていない機械は入れ替える。更新が届く状態に戻す、という意味では、いちばん素直な道になる。

判断の順序は決まっている。まず、手元の機械が条件を満たしているかを確かめる。処理装置の世代、セキュリティ用の部品、起動の方式——ここで振り分けると、「上げるだけで済む機械」と「機械ごと替えるしかない機械」に分かれる。この振り分けをせずに見積もりを取ると、上げるだけで済んだ機械まで買い替えの台数に入る

  • 向く場面:外とつながっている機械。メール、会計、銀行、取引先とのやりとりに使っている一台。止まると業務が直接止まる機械。
  • 割に合わないこと:まとまった支出が要る。加えて、機械が新しくなると、これまで使ってきた業務用のソフトや、つないでいた機器(プリンタ、測定器、専用の装置など)が動かなくなることがある。費用は本体だけで終わらないという前提が要る。
  • 始める前に要ること:その機械で使っているソフトと、つないでいる機器を書き出しておくこと。ここが抜けたまま入れ替えると、新しい機械が来てから動かないことに気づく。

B案:有料の延長を買って、決めるための時間を作る

会社として延長を買い、更新が届く状態を保ったまま、入れ替えの計画を立てる道。台数が多く、一度に替えられない場合の橋渡しになる。

  • 向く場面:台数が多く、一度に予算を組めない会社。業務用のソフトの移行に時間がかかることが分かっている会社。
  • 割に合わないこと:毎年倍になるうえ、受け取れるのは最長でも3年で、その先は無い。技術的なサポートは含まれない。後から入る場合は前の年の分も払うことになる。つまり、これは解決ではなく、期限つきの猶予を買う判断になる。加えて、購入の経路は企業向けのライセンス制度を通じたものと案内されており、店頭ですぐ買える性質のものとは違う。
  • 始める前に要ること:猶予を買って何をするのかを、先に決めておくこと。決めないまま買うと、翌年に倍の額で同じ判断を繰り返すことになる。

C案:外とつながない役割に限って、その機械を使い続ける

現場の機械を動かす、特定のソフトを動かす——といった用途に限り、ネットワークから外して使う道。更新が届かないことの影響は、外とつながっている度合いで変わるため、つながりを断てば影響の受け方も変わる。

  • 向く場面:入れ替えると動かなくなる装置や専用ソフトがあり、その一台が現場の仕事に直結している会社。
  • 割に合わないこと:外との行き来を本当に断てるかどうかが問われる。USBメモリでファイルを持ち込んでいる、ときどきメールを見ている、共有フォルダにつないでいる——このどれか一つでも残っていれば、「外していない」ことになる。運用で気をつける形にすると、いずれ元に戻る。物理的につながらない状態にできるかどうかが分かれ目になる。
  • 始める前に要ること:その機械へのファイルの出入りが、実際にどう行われているかをたどること。「つないでいないつもり」を先に潰す。

三つを組み合わせるのが、実際の形になる。外とつながる数台はA案、残りはB案で時間を作り、装置用の一台はC案——という割り振りができれば、一度に動かす金額は小さくなる。

自分でできる、はじめの一歩

費用をかけずに、今日のうちにできることがある。

紙一枚に、パソコンの台数を書き出す。 一台ずつ、置いてある場所と、主に使っている人と、その機械でやっている仕事を書く。それから、外とつながっているかどうかに印をつける。この一覧は、業者に見積もりを頼むときの前提にもなり、金額が妥当かを自分で確かめる材料にもなる。一覧が無いまま出てきた見積もりは、何を根拠にその台数なのかを確かめようがない

もう一つ。印のついた機械——外とつながっている機械について、そこで使っている業務用のソフトと、つないでいる機器の名前を書き足す。ここが、入れ替えの見積もりで最も金額が動く部分になる。

この一歩でできるのは「判断の単位を、一台ずつに割ること」までだ。どの機械にどの道を割り当てるか、どの順で予算を組むかという判断は、ここから先に残る。

それでも、自社の事情が残るときは

「この機械が条件を満たしているのか、自分では読み取れない」「入れ替えたら、今使っているソフトが動くのか分からない」「延長を買うべきか、替えるべきか、金額の比べ方が分からない」——この辺りで足が止まる会社は多い。判断に必要な情報が、機械の中と、制度の側と、業者の見積もりに分かれて置かれているためである。

そういうときは、OSAKA AI-Center の窓口に相談するという選択肢がある。何かを買う必要はなく、こちらから売り込むこともない。「うちにはこういう機械がこれだけあって、どこから手をつけたものか」——その整理を一緒に考えるところまでが、この辞典の役割である。

ITは、本来は専門家の領分でもある。弁護士や税理士のように、ITと経営の両方を知る第三者を"ブレイン"として側に置く——という考え方もある。何もかも自社だけで抱え込まなくていい。この辞典も、そうした相手と一緒に読めば、自社に合った次の一手につながりやすい。

うちの場合はどうなのか、という部分は残る。

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この辞典について

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