引き口
とにかく手作業がつらい
全8件
勤怠がタイムカードのままで、毎月の集計に時間がかかる紙のタイムカードは、決まりの上では何も問題がない。国が客観的な記録として最初に挙げているのがタイムカードだからである。手間が集中しているのは打刻ではなく、その後——集計・突き合わせ・本人への通知・保存のほう。しかも通知は、月末にまとめて集計する形では構造的に間に合わない。メールで届いた請求書や領収書を、どう保存すればいいのか分からない保存の決まりが複雑に見えるのは、説明の多くが仕組みを売る側から届いているためである。国が出している案内を読むと、実際に変わったのは一点に絞れる——印刷したうえで元のデータを消す、という扱いが認められなくなった。売上の規模によっては要らない要件もあり、間に合わない場合の猶予も用意されている。Excelでの顧客管理が、もう限界かもしれないExcelでの顧客管理が限界に見えるのは、ファイルが増えてどれが最新か分からなくなるからだ。散らかるのは整理が下手だからではなく、一人がその場で片づけるための道具を、複数人で積み上げる仕事に使っているから。必要なのは整理術ではなく、「正しい一つ」を共有し続けられる入れ物である。電話で受けた内容をメモして、後でシステムに打ち直している電話やカウンターで聞いた話を、いったん紙に走り書きし、後でシステムに打ち直す。二度手間は「仕方ない」と諦められてきた。だが、聞きながら最終形に書けないのはサボりではなく構造の問題であり、消せるのは二度目の入力のほうにある。毎月、同じ数字を別の表に手で打ち直しているある表の数字を、別の表へ毎月手で打ち直す。これは「入力が遅い作業」ではなく、つながっていない表と表を人が手で橋渡ししている症状である。同じ数字が二か所にある時点で、どちらかは必ず古くなる。打ち直しの本当のコストは、かかる時間ではなく、いつの間にか生じる食い違いのほうにある。月末になると、集計作業で残業が決まってしまう月末に決まって残業が出るのは、その月の仕事量のせいではない。日々の数字を「後でまとめて数える」前提で貯めるから、締め日という一点に山ができる。原因は月末ではなく、平常月の数字の入れ方のほうにある。もらった名刺が箱にたまる一方で、探せない名刺がたまるのは、整理をサボっているからではない。名刺が「いつか使うかもしれない、でも今すぐは使わない」宙ぶらりんの情報だからだ。だが、探せない名刺は、持っていないのとほとんど変わらない。注文がFAXで来るので、結局すべて手で入力している注文はFAXで届き、そこから一件ずつ手で打ち直す。この手入力がなくならないのは、自社の仕事が遅いからではない。注文が「相手の都合」でFAXという形で届く以上、デジタルへの入口で必ず人手が挟まる——手作業の発生源が自社の外にある、という構造のほうにある。
